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「記憶の継承と言語」プロジェクト講演会の報告

「記憶の継承と言語」プロジェクト講演会の報告 published on

2018年3月7日(水)17時~19時に、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト講演会(第14回セミナー)を開催致しました。

当日は、田村直子氏(ボン大学)に「記憶の継承と言語 ―ボン大学における実践報告・授業実践と研究の接点を探る―」と題してご講演いただき、ボン大学のヒロシマ・ナガサキ・プロジェクトにおける授業実践の紹介を軸に、記憶の言語化の段階や言語化された記憶の特徴、記憶の継承のサイクルの中における翻訳の位置付けなどについてご報告いただきました。質疑応答では、言語化の「場」をめぐる、被爆者証言と、法廷証言や自白との異同(「証言」の性質を決めるパラメータ)、ヒバクシャと語り部の関係(「証言者」の性質を決めるパラメータ)、および、それらがかかわる言語的要素(視点、終助詞、フィラー、伝聞表現など)について、出席者と活発な議論が展開されました。

「記憶の継承と言語」プロジェクトによる公開講演会とワークショップのためのクラウドファンディング開始!

「記憶の継承と言語」プロジェクトによる公開講演会とワークショップのためのクラウドファンディング開始! published on

 ICR総合言語科学ラボラトリの「記憶の継承と言語」プロジェクトは、平成30年1月実施予定の公開講演会とワークショップの開催のためのクラウドファンディング(「10年後、被爆体験を語る若者へ。米国の平和活動家が語りかける。」https://readyfor.jp/projects/13529)を開始いたしました。
 是非サイトをご覧の上、ご支援をお願いいたします。

「記憶の継承と言語」キックオフフォーラム

「記憶の継承と言語」キックオフフォーラム published on

下記の日程で「記憶の継承と言語」プロジェクト(リーダー:沼田善子)キックオフフォーラムを開催致します。奮ってご参加ください。

 

「記憶の継承と言語」プロジェクトキックオフフォーラム
記憶の共有――広島・長崎被爆体験をめぐって――

■日時・場所
2月17日(金)10:00-17:30(筑波大学人文社会学系棟A101会議室)

■講演
(1) 齋藤一氏(筑波大学)「核時代の英米文学者――福原麟太郎と野崎孝を中心に――」

(2) 高橋弘司氏(横浜国立大学)・長谷川健治氏(横浜国立大学)・長谷邦彦氏(京都外国語大学)「『被爆証言の世界化』の可能性と課題をめぐって」

(3) 青木三郎氏(筑波大学)「核か原子力か?――発信と語彙選択――」

 

キックオフフォーラム・プログラム

「記憶の継承と言語」プロジェクト:10月の活動報告

「記憶の継承と言語」プロジェクト:10月の活動報告 published on

「記憶の継承と言語」プロジェクト(リーダー:沼田善子)の活動報告です。

■第6回セミナーの開催

2016年10月11日に、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト第6回セミナーを開催致しました。

セミナーでは、田中佑氏(筑波大学)より、被爆証言映像データ化作業の進捗状況と文字化方法の説明ののち、今後の作業の方針に関する議論がなされました。今後の作業については、(1)先行研究による長崎における原爆被爆体験に関する口述記録の語彙分析との比較対照、(2)翻訳データに関する分析、を行うためのデータを優先的に作成していくことを方針とすることが決定致しました。

■第7回セミナーの開催

2016年10月18日に、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト講演会(第7回セミナー)を開催致しました。

当日は、佐藤琢三教授(学習院女子大学)に「体験の語りと「いつも」「ばかり」「みんな」の主観性」と題してご講演いただき、「(週2のペースで遅刻する娘に対する母親の発話としての)「遅刻ばかりでどうするの」」における「ばかり」の集合形成プロセスを軸に、「いつも」と「常に」の相違や、「みんな」を用いて体験を語る際の問題点について、豊富な用例からお示しいただきました。質疑応答では、「ばかり」文に数量詞が共起した際の集合形成のなされ方や、集合形成とマイナス評価への傾斜の関係など、出席者と活発な議論が展開されました。

第7回セミナー

「記憶の継承と言語」プロジェクト:7〜9月の活動報告

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■第3回セミナーの開催(7月)

2016年7月25日に、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト(リーダー:沼田善子)第3回セミナーを開催致しました。

セミナーでは高橋洋成氏(筑波大学)が「民族の記憶としての旧約聖書」と題して、古代イスラエル民族が自身の文学を形成し始めたとされる前8〜7世紀の言語状況を、当時の社会的背景と絡めて説明しました。そして、話者をとりまく社会的状況に応じて伝承が物語化され、そのために物語言語が発達し、築き上げられた物語がさらに解釈を受けて発展していく、という重層的なプロセスが出席者の意見交換を通して確認されました。また、そうしたプロセスを分析するためにどのようなアプローチがありうるか、という方法論の可能性について議論がなされました。

■第4回、第5回セミナーの開催(9月)

2016年9月20日、27日に、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト第4回、第5回セミナー「被爆証言データセッション」を開催致しました。

20日は田中佑氏(筑波大学)による被爆証言データの概要説明を、27日は稲葉梨恵氏(筑波大学)による被爆証言翻訳作業の概要説明を実施し、今後の研究の可能性と課題について意見交換を行いました。今後の研究に関する議論では、語彙・文法・談話といった言語学的アプローチのみならず、証言談話を文学として分析する方法の可能性や、歴史学、心理学等との連携の必要性についての意見が交わされ、そこから広がる新しい研究の発展可能性が認識されると同時に、被爆証言の資料としての価値や特徴、これをデータとして扱う際、もしくは、翻訳を行う際の注意点などが確認されました。

「記憶の継承と言語」プロジェクト講演会のご報告(2016年6月)

「記憶の継承と言語」プロジェクト講演会のご報告(2016年6月) published on

2016年6月8日、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト(リーダー:沼田善子)講演会を開催致しました。

当日は、宋協毅教授(大連大学・副学長)をお招きし、「「語り」の日本語を中国語訳する場合の諸問題」と題して、翻訳・通訳には言語運用能力以上に各言語の思考方式やその深層にある文化背景などを理解していること(文化理解力)が重要であることを、実際の通訳現場における「どう言うつもりですか」「ワンパターンですね」のような発話、昔話・俳句などを含む様々な文章の翻訳に見られる問題点といった豊富な事例からお示しいただきました。質疑応答では、出席者との活発な議論が展開されました。

宋協毅先生ご講演 質疑応答