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「記憶の継承と言語」プロジェクト:7〜9月の活動報告

「記憶の継承と言語」プロジェクト:7〜9月の活動報告 published on

■第3回セミナーの開催(7月)

2016年7月25日に、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト(リーダー:沼田善子)第3回セミナーを開催致しました。

セミナーでは高橋洋成氏(筑波大学)が「民族の記憶としての旧約聖書」と題して、古代イスラエル民族が自身の文学を形成し始めたとされる前8〜7世紀の言語状況を、当時の社会的背景と絡めて説明しました。そして、話者をとりまく社会的状況に応じて伝承が物語化され、そのために物語言語が発達し、築き上げられた物語がさらに解釈を受けて発展していく、という重層的なプロセスが出席者の意見交換を通して確認されました。また、そうしたプロセスを分析するためにどのようなアプローチがありうるか、という方法論の可能性について議論がなされました。

■第4回、第5回セミナーの開催(9月)

2016年9月20日、27日に、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト第4回、第5回セミナー「被爆証言データセッション」を開催致しました。

20日は田中佑氏(筑波大学)による被爆証言データの概要説明を、27日は稲葉梨恵氏(筑波大学)による被爆証言翻訳作業の概要説明を実施し、今後の研究の可能性と課題について意見交換を行いました。今後の研究に関する議論では、語彙・文法・談話といった言語学的アプローチのみならず、証言談話を文学として分析する方法の可能性や、歴史学、心理学等との連携の必要性についての意見が交わされ、そこから広がる新しい研究の発展可能性が認識されると同時に、被爆証言の資料としての価値や特徴、これをデータとして扱う際、もしくは、翻訳を行う際の注意点などが確認されました。