「記憶の継承と言語」プロジェクト(リーダー:沼田善子)の活動報告です。
■第6回セミナーの開催
2016年10月11日に、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト第6回セミナーを開催致しました。
セミナーでは、田中佑氏(筑波大学)より、被爆証言映像データ化作業の進捗状況と文字化方法の説明ののち、今後の作業の方針に関する議論がなされました。今後の作業については、(1)先行研究による長崎における原爆被爆体験に関する口述記録の語彙分析との比較対照、(2)翻訳データに関する分析、を行うためのデータを優先的に作成していくことを方針とすることが決定致しました。
■第7回セミナーの開催
2016年10月18日に、筑波キャンパスにて「記憶の継承と言語」プロジェクト講演会(第7回セミナー)を開催致しました。
当日は、佐藤琢三教授(学習院女子大学)に「体験の語りと「いつも」「ばかり」「みんな」の主観性」と題してご講演いただき、「(週2のペースで遅刻する娘に対する母親の発話としての)「遅刻ばかりでどうするの」」における「ばかり」の集合形成プロセスを軸に、「いつも」と「常に」の相違や、「みんな」を用いて体験を語る際の問題点について、豊富な用例からお示しいただきました。質疑応答では、「ばかり」文に数量詞が共起した際の集合形成のなされ方や、集合形成とマイナス評価への傾斜の関係など、出席者と活発な議論が展開されました。